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中島京子「女中譚」

今日は忙しくなってしまう予定です。
昨日まで2.3日、比較的暇だったので、読書三昧でした。

さて。
今日は、中島京子著「女中譚」
女中譚女中譚
(2009/08/07)
中島 京子

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月ママさんのブログにて紹介されていた本です。
まだ文庫本になっていないので、興味持たれてる方はスルーで、ね。

































話の内容は、昭和初期に女中・女給をしながら生きていた、現在では90歳くらいのおばあちゃんが、その若かりし頃の女中家業の話を人に聞かせるというもの。場所は現代・秋葉原、となっております。

林芙美子、吉屋信子、永井荷風が描いた女中小節を繋げ、最終的には秋葉原の連続殺傷事件の現場に至る。

まず、私はこの「老人が昔語りを聞かせる」というおおまかに同じ構成の本を別に読んでおりまして・・それがすごく良かったので、思わず比べてしまったのですね。

それは何かというと、浅田次郎著「天きり松闇がたり 闇の花道」
天切り松 闇がたり 1 闇の花道 (集英社文庫)天切り松 闇がたり 1 闇の花道 (集英社文庫)
(2002/06/20)
浅田 次郎

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これ、シリーズで全4巻なんですが、これは読ませる本でした。夢中になって4巻読破した思い出が。
こちらは、今よりちょっと昔の日本の刑務所で、おじいさんが自分の昔の話を囚人に聞かせる話。おじいさんは明治.大正・昭和と生き抜き、若かりし頃は「義賊の一味」として生きていた人物です。とはなにか、人情とはなにか、「今ここにいるお前さんらに、それはあるのかい?」と同じ「犯罪者」である現代の囚人に話す、その語り口がベタベタの江戸っ子で、それは小気味よく、「粋」でした。鼻につく方もいらっしゃるかと思いますが、私は浅田次郎さんの描く「粋」がとても好きです。

一方、「女中譚」の中でのおばあさん「スミ」も生まれこそ違うが、若い頃からずっと東京の街にいついてしまって、ある意味「江戸っ子」です。なんだか蓮っ葉な女、であったおばあちゃんは、現在もそんな感じ。
林芙美子、吉屋信子、永井荷風が描いた女中小説、なるものをまだ読んでないので、なんとも言えないのですが、最終的におばあさんが一人さみしく秋葉原にて、連続殺傷事件の最中、混乱する人ごみの中で亡くなる(んですよ。あ、バラしちゃった・・)という流れに、なんだかものすごく「借り物」感を感じてしまいました。なんていうんでしょう、大きな流れとして「老人が昔語りをする」という構成のみで、あとは在りものをそれなりに繋いだという感じがしてしょうがなかった。秋葉原の連続殺傷事件は記憶に新しい事件ですし、皆知ってる大事件ですから。浅田次郎さんと比べるのもナンだけど・・・もっともっとオリジナリティが欲しかったな、と思うんですよ。

おばあさんは、冒頭でメイド喫茶にいます。そこにくる若者に話しかけて、勝手に自分の半生を話始めるのがこの本の始まり。なんでメイド喫茶にいるかというと「あの働いてるお嬢ちゃん達の服装、あれね、私もむかし女中をやってたもんでさ、ああいうの着てたなと思ってね。いわゆる『メイド繋がり』」ということなんですね。

ただ、女中というお仕事、今でもお金持ちの家には家政婦さんがいらっしゃって、その実体はやったことないので詳しくは知りませんが(『家政婦は見た!』を見た程度の知識。が、しかし、あれも現役家政婦さんから見れば営業妨害に近いドラマだなーと思う。)、昔の女中というのは、若い娘さんがとりあえず花嫁修業の一環として働いて、それでいろいろ家事を覚えて実家に帰って来るという、いわば「実地訓練」だったのですね。それでお金も貰えますし。得るものの多い職場であったようですね。

しかし、たとえばそこでの旦那様のお手つきになったりしたし、危うい職業ではあった。でも強い女はしたたかにそこまでも利用して、「生きて行く」事にものすごくしぶとかった。今でも女性の根本はそう変わらないのかもしれないですけれど、今のようにパワハラですとか、女性の権利を主張する概念が薄い時代、どこにも訴えられないし、なにより悔しいから利用してやれ!ちくしょう!という強さ。出生にさしたる特徴もなければ女は強く生きていかなきゃ誰かに潰されるような世の中で、したたかに女を武器に生きて来た、それが「スミさん」です。

だからこそ、その強い女のしたたかさを粋に語って欲しかったな、と思うのは私の単なる希望ですが。蓮っ葉な口調はそのままに、年老いても「強い女」として恰好よく「私はこのしたたかさで生き抜いてきたのよ」と堂々と言う彼女であってほしかった。でも、実際は「話を聞きたくもない若者に無理矢理話している」ようにも、「誰も聞いてなくても独り言として語る」ようにも見えて、もう限りなく「寂しい老婆が一人でしゃべっている」という感じがありまして、逆に切なくなりました。

冒頭でメイド喫茶にいたスミさんは、そのメイド喫茶の常連であるとはじめに書かれていまして、そこで閉店まで来る人来る人に女中話を聞かせる。そして閉店間際にメイド喫茶のカウンターに寝てしまうのが常で、そこのメイドをやってる女の子が、スミさんを送っていき、なんだかんだ面倒を見てあげている、というものなのですが、次のお話ではスミさんの家だったり、最終的には独り言的に路上で話している。舞台がずっとメイド喫茶だったり、どこかの飲み屋だったりしたら、それはそれで纏まって良い話になったんじゃないかな、と思いました。強く生きて来たスミさんが、だれも彼女を知らない路上で亡くなるよりは、いきつけの飲み屋のカウンターで息を引き取って、なじみのマスターとかお客さんにみとられて欲しかった。

・・・なんていうのは私の希望なので、別にかまわないんですけれど。

あ、余談ですけれど表紙の「女中譚」という文字のデザイン、良いですね。
私、漢字をデザインするのが割と苦手なので、参考になりました。

中島京子さんの本、文章的にはとても読みやすいので、次はまったくの彼女のオリジナル小説が読みたいな、と思います。



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プロフィール

とめきち

Author:とめきち
クリエイティブ方面、職人行き。フリーです。
Macでいろいろ作る事を生業としてます。
ロゴとかイラストとか名刺とかバンドのポスターとか。
その他、なんかいろいろです。
最近、CDジャケットのイラストとかやるようになりました。


作業中に無限ループしてるのは山崎まさよしさんの曲。
あと、料理も好きです。
お酒も、とてもよく嗜みます。

極フツーのちょっと格闘技に足つっこんだ30代です。
だがしかし、2013年に念願の息子が生まれてからは体動かせてません。
ていうより、妊娠出産を経て体重増えまくってしまったので、
現在は動く以前の問題として、糖質制限しています。
同じような方いらっしゃるかしら?がんばっていきましょう!

大事にしてるものは家族。
現在2歳の息子を中心とした生活です。

TwitterのIDはtomekichi_3だす。
(でもあんまりつぶやいてませんが。)

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そろそろ、山崎まさよしさんライブを聴きに行きたいところです。

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